不眠症解消のためのコラムです。
また私の不眠症、うつ病克服の恩人岩波先生の不眠症の言葉集がこちらに掲載されていますので併せてご覧ください
(不眠症解消の条件 〜眠れない苦しみとうつ病悪化への危険性排除〜 / 不眠症は睡眠薬で解決可能か? 自然な快眠と強制的眠りの歪み)
不眠症はうつ病と切っても切り離せないものです。こちらでもちらっと書いていますが、うつ病には睡眠障害・不眠症はつきものです。
ましてや仕事をしている人にとって死活問題です。不眠症への焦りがますますうつ病悪化に導いてしまうものですが、そんな不眠症・睡眠障害についてのコラムです。
現在の精神医療の状況として、「不眠症が始まったら、うつ病を疑え」という雰囲気があります(うつ病キャンペーンの一貫)。うつ病は初期のうちに治療したほうがいいというものから出たものです。しかし、ただの不眠症で抗うつ剤を飲んだ日には、自動的にうつ病患者になってしまう弊害もあります。
よくこんな話を聞きます。あるときうつ病と診断されてから、急激に抑うつ状態が悪化したと。人間の思い込みって怖いものです。もしただの落ち込みだったのに、精神科、心療内科に行って、うつ病と診断されたら、その人の人生はとても大損をこいたことになりますね。必要じゃない薬を服用して、副作用で苦しみ、それがうつ病だと思ってしまう。こんな人は多いと思います。しかし薬をある程度服用してしまうと、抗鬱剤のような強い薬は離脱症状がひどくて、外すことが大変です。離脱症状がきつくて、再び抗鬱剤に頼る薬害とも言える構図が現にあります。不眠症が続いたといっても、それが即うつ病だということでは無いので安心して下さい。
しかし、うつ病になると、あるいはある程度落ち込みが続くと不眠症になっていきます。うつ病は寝ている時だけが幸せという段階の人がいますが、寝ることが恐怖で、起きてても寝床に入っても地獄という状態の人もいます。私もそうなりました。こうなると、24時間地獄です。睡眠薬や抗鬱薬の副作用による眠気によって、寝ることはできても、それは健康的な眠りではありません。
睡眠薬、抗鬱剤の副作用で頭が重くだるく目覚めも最悪で、一生目が覚めないほうがマシな状態でした。
それに仕事をしていて不眠症の人は、次の日の仕事に備えて、充分睡眠を取らなくてはいけないという恐怖があります。眠いまま翌日仕事をしてもきついだけです。その苦しみは想像を絶します。私も起きるも苦痛でした。会社をそんな精神状態と肉体疲労で行く事自体、苦行のなにものでもありません。しかも抗うつ薬の副作用も加わります。これじゃ、休職をしたくなってしまうも無理はありません。
逆に考えれば、うつ病であっても、睡眠をうまく出来るようになることが、うつ病ライフをマシに過ごすために必要だということでもあります。ここから本題に入りたいと思います。
目を閉じて寝ようとしても
「心臓の動悸が激しくなる、なにか苛立つ、神経が高ぶる、過敏になる、雑念に支配され落ち着かない、何か体が窮屈だったり、むず痒かったりする、どんなに寝る体勢を変えても落ち着きどころがない、寝ても途中で目が覚める、熟睡感がないまま目が覚める」
なんてことは、いくらでも出てきます。
これらはなんで起きているのでしょうか? あまりに体が緊張しているから起きます。心も体もリラックスとは程遠いところにあるから、寝られないのです。自然に眠ることはそれでは難しいはずです。寝ようとする努力も全て体の力みに通じます。眠る=意識がないなら、寝ようとする意識自体、毒にしかならないということです。
でも、勝手に不安や焦り、きつい雑念は、襲いかかってきます。それがうつ病なのでしょうがありません。しかし、私はそれを打ち消すために無理やり頑張ってしまいました。結果はイライラして神経が余計高ぶるしかなかったのです。誰がどんなに頑張っても眠ることはできないのはそのためです。
そもそも寝るために頑張ってはいけません。しかし鬱病の人は頑張ってしまうのです。だからうつ病と不眠症は切っても切り離せない関係になるわけです。そのため不眠症の薬を飲むことで、むりやり眠るしかありません
しかし睡眠薬はどこか不自然です。不自然な作用を無理やり起こさせることで眠るため、体に徐々に負担がかかってきます。最近の睡眠導入剤や睡眠薬は副作用が少ないといいますが、うつ病ともなると満足行く効果を得るためにどんどん薬が増えていきます。ま た薬に減弱効果があるため、それまでの量では体が慣れてしまって効かなくなってしまうのです。こうなると、体に負担がかかる量を毎日服用するはめになるので、不眠症が改善しなくなります。
思考によって眠ることへの努力が逆効果になることを書きました。そうなると、頭(理性)からのアプローチではなく、体からのアプローチをしていくほかありませんでした。この体というのは『脳』も含みます(頭と脳を使い分けていることに注意)。脳が眠りを忘れてしまうため、それを思いださせることが必要です。
どうやって脳にプローチにするかというと、様々な方法がありますが、呼吸法がいいです。しかも特殊な呼吸法で私は脳にリラックス感を覚えさせることで、眠れない悪循環を徐々に断つことに成功しました。また体へのアプローチもストレッチをすることで、少しでも体を柔らかくして、眠るときに体の力をただ抜いて眠るようにしました。そのとき雑念が起きても打ち消すことは不可能なので、諦めてそのなかでいかに体の力、頭の力を抜けるかそれだけをしました。
最初は難しいです。そもそもうつ病になるとリラックス感を忘れます。楽な気持ちを全く思い出せません。だから、リラックスすれば眠れるなんていうアドバイスは何の意味も持たないのです。でも呼吸法(トランス呼吸法)で、脳のリラックス感、緩みを引っ張り出すことはできました。
どうやってやったかといいますと、この体験記に書かれてある岩波先生の心理脳内プログラムでやるトランス呼吸法を使ってです。通うと、岩波先生は脳に特殊なインパクトのある変性意識状態へと誘導してくれます。この時の脳の状態はたくさんのリラックスするための脳内神経伝達ホルモンが分泌されます(人それぞれ進み具合は違うので注意)。
さらに多くのホルモンを出すためには、家でゆっくり目のトランス呼吸法をやってくるように言われます。それを多くやってくると、深い心地良い世界を体験できます。うつ病の時じゃとても味わえないリラックス感と落ち着きであふれた状態です。いやうつ病になっていない人も絶対味わったことがない心地よさです(最初は気持ち悪くなる人もいます。体が硬いため、胃に負担が来るからです。でもそれはじきにおさまります)。
このトランス状態とも言われる感覚は脳は覚えてくれます。それを引っ張り出すのが、岩波先生が教えているトランス呼吸法です。
できれば、息を吐く時に苦しい思いをしないように、体を温め、柔軟運動をしっかりしてからやるといいです。逆でんぐり返しがいいようです。うつ病で億劫だなんて言わずにやってください。そんなのはみんな当たり前ですから。
特に現在より脳に直結するようなストレッチ法を岩波先生が編み出しています。その後に椅子に座って、あるいは仰向けでゆっくり吸って、さらにゆっくり吐いてください。吐くときにできれば緩んでいることを想像してください(難しい人は緊張状態から解放される感覚でも結構。何でもいいですから)。訓練していくと心地よい状態を少しでも味わえたら、それを深めようとしないで、ただ淡々とやってください。そこに意味を求めてはいけません。求めないほうが、脳が作動してくれます。
眠るためにやるわけですが、睡眠に入るためにもやってはいけません。ただひたすら体を力が抜けていくだけでいいです。雑念が必ず襲ってきますが、それもしょうがありません。それでもただやり続けることが大事です。一度脳のインパクトあるリラックス感を経験している人なら、少しずつ気持ちよさ、変性意識状態になってきます(またあえて言います。求めない)。
もし岩波先生の脳への条件づけを体験していない人も、呼吸法で脳からリラックス感、気だるさ、心地よさをしばらくやっていれば引き出せるはずです。ちょっと呼吸法の調子が悪い時は、ストレッチ法に切り替えて、気分転換してから、トランス呼吸法に移行しましょう。
これをどんどん脳に癖をつけていけば、寝に入るときに、緩み、変性意識、開放感、リラックス、どれでもいいので、想像することで、あるいはトランス呼吸法で引っ張り出すことができるようになります。もちろん様々な壁がそれまでにあるでしょう。しかし、理性による戦いに入って不眠症が悪化するよりもそちらのアプローチのほうが早いです。脳と体でリラックス感を覚えさせ、引っ張り出すことで、はじめて眠りに自然に入れる状態に近づくことができます。
私は脳と体の力を抜けさせることだけをして、不眠症から克服できるようになりました。しかもトランス呼吸法の効能は、うまくいった場合、眠りが深くなる、目覚めがすごく気持ちよくなります。
岩波先生のプログラムに通って、その日のうちに呼吸法をやった翌朝目覚めた時、ありえないような心地よさの中で目覚めたことがありました。この一回の経験で、私の眠りに対する恐怖感はだいぶ薄らいでくれました。それでも雑念と戦って失敗したり、時々うまくいったり、なかなか安定しませんでしたが、ここに書いてあることをどんどん訓練していくことで、完全に不眠症とうつ病の悪循環から解放されることに成功しました。
そこそこ眠れることは、気力の回復にもつながります。落ち込みも歯止めがかかります。そして、うつ病闘病中において、落ち込みに負け続けていた私が、はじめて眠れるようになったという事実、そして自分の力で不眠症が少しずつ改善していった今までと違う明るい風を感じられたことは大きかったです。
不眠症克服は戦っては勝てません。悟りと瞑想の名人でも、いちいち戦っては、ますます不眠症が悪化するでしょう。しかし、そういう人達は、戦わずに切り抜ける方法を知っています。別アプローチをしなくてはいけません。私のやった方法はこういう感じでした。
それ以来、眠りへの自信がつきました。それは自分自身への自信回復へとつながりました。あらゆる簡単なことさえ不可能だと思っていた私でも、不可能なことはないのだというお金では買えない自信を手に入れることが出来ました。私のうつ病克服のきっかけの一つに不眠症克服があります。すべてを都合悪く考えてしまう反射回路を変えるには、なにか1つだけでいいので、自分でも精神的な問題で対処できたのだという結果が大事だと思います。
とにかくうつ病は体と思考が硬直化して、何もできなくなります。心身症が悪化するのも、精神の歪み・緊張・落ち込みによる体への悪影響からです。健康的な人間はすべからく体の力が抜けています。柔らかいのです。体調が悪くて動けないのも体の硬さからです。
不眠症もそう。体が硬いと雑念とマイナス思考がひどくなります。でも力が抜けていると、ひどくなりません。もっと柔軟な思考ができます。その先にプラス思考が待っています。なので、脳を緩めること、体を緩めることが、不眠症にかぎらず大事でした。
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